
1. コルベット E-Ray
コルベット E-Rayは、シボレーが送り出す初のハイブリッド仕様のスポーツカーであり、同時にブランド初のAWD(全輪駆動)モデルでもあります。従来のV8エンジンのパワーに加え、前輪を駆動する電気モーターを組み合わせることで、圧倒的な加速性能と安定した走行性能を両立しています。車名の「E-Ray」は、コルベットの定番モデル「Stingray」に電動技術(Electric)を融合させたことに由来します。
2. スペックとパフォーマンス
E-Rayの心臓部には6.2Lの自然吸気V8エンジン(502ps)が搭載されており、これに加えてフロントに配置された電気モーター(162ps)が加わります。システム総出力は664psに達し、0-60mph(約96km/h)加速はわずか2.5秒という驚異的なタイムを実現。この加速性能は、従来のガソリン車であるZ06とほぼ同等でありながら、より扱いやすいトルク特性と低速時の静粛性を備えています。
さらに、1.9kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、「ステルスモード」と呼ばれるEV走行モードでは最大6.4kmの無音走行が可能です。住宅街や早朝の出発時などに重宝される機能でしょう。
【比較表】コルベット E-Rayと過去モデルの違い

モデル名 | エンジン構成 | 駆動方式 | 最高出力 | 0-60mph加速 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
Stingray | 6.2L V8 NA | RWD | 約495ps | 約3.0秒 | コルベットのベースモデル |
Z06 | 5.5L V8 DOHC NA | RWD | 約670ps | 約2.6秒 | 高回転型エンジン、サーキット志向 |
ZR1(C7) | 6.2L V8 スーパーチャージャー | RWD | 約755ps | 約2.8秒 | 旧世代の最上級パフォーマンスモデル |
E-Ray | 6.2L V8 + モーター | AWD | 合計664ps | 約2.5秒 | ハイブリッド+AWD、静音モード搭載 |
【価格と燃費もわかる!】コルベット E-Rayと過去モデルの徹底比較
モデル名 | 世代 | エンジン構成 | 駆動方式 | システム出力 | 0-60mph加速 | EPA燃費(市街地/高速) | 新車価格(米国) | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stingray | C8 | 6.2L V8 NA | RWD | 約495ps | 約3.0秒 | 約15 / 27 mpg | 約$66,000〜 | C8基本モデル。初のMR化で操縦性が大幅進化。 |
Z06 | C8 | 5.5L V8 DOHC NA(高回転型) | RWD | 約670ps | 約2.6秒 | 約12 / 19 mpg | 約$110,000〜 | フラットプレーンクランク採用。サーキット特化型。 |
ZR1 | C7 | 6.2L V8 スーパーチャージャー | RWD | 約755ps | 約2.8秒 | 約13 / 23 mpg | 約$122,000(当時) | 旧世代最強モデル。大排気量+過給器で圧倒的加速力。 |
E-Ray | C8 | 6.2L V8 + フロント電動モーター | AWD | 合計664ps | 約2.5秒 | 約16 / 24 mpg(推定) | 約$106,000〜(日本価格:約2,350万円) | 初のハイブリッド&AWD。静音走行・EVモード搭載。 |
【補足】
- EPA燃費は米国環境保護庁(EPA)による基準で、日本のWLTCモードより厳しめです。
- **価格は2025年時点の米国市場価格(MSRP)**を参考とし、日本国内での正規輸入価格は為替や輸送コストにより上昇します。
- E-Rayの燃費値は公式には未公開のため、実測レビューからの推定値を記載しています。
3. デザインとエクステリア
E-RayはZ06と共通のワイドボディを採用しており、全幅は2025mmとかなりの迫力。空力性能を重視した大型ディフューザーや専用デザインのフロントバンパーなどが装備され、見た目のインパクトは抜群です。

また、E-Ray専用のカラーリングとして「リップタイドブルーメタリック」や専用ホイールデザインも用意され、従来のコルベットとは一線を画す存在感を放っています。サイドに施された「E-Ray」バッジも、このモデルの特別性を主張しています。
4. インテリアと快適性

車内には高品質な素材が使用されており、GT2バケットシートやカーボン製ステアリングホイールなどが標準装備。センターコンソールにはエネルギーフローを表示するディスプレイが配置され、ハイブリッドシステムの動作状況をリアルタイムで確認できます。
また、E-Rayには「ステルス」「ツアー」「スポーツ」「レース」など8種類のドライブモードが用意されており、走行シーンに応じた細やかな制御が可能です。快適性とスポーツ性能をバランス良く味わえる点は、従来のコルベットにはなかった魅力です。

5. オーナーのインプレッションと不満点
実際のオーナーからは、「従来のV8の魅力を保ちつつ、新時代のスポーツカーに進化している」との高評価が多く寄せられています。特に加速時のトラクション性能や、AWDによる安定感は絶賛されています。
一方で、不満点として挙げられるのは、やはり車高の低さによる段差の乗り越えづらさや、ドアの重さ。さらに、ハザードランプのスイッチ位置が分かりにくいという声もあり、操作性にはやや課題があるようです。
6. 中古車購入時の注意点
E-Rayは日本国内では2024年6月時点で新車の予約受付が終了しており、今後は中古市場での流通が主流になります。その際に注意すべき点は以下の通りです:
- ハイブリッドシステムのバッテリー状態の確認(走行距離や使用年数によって劣化の可能性あり)
- モーターや電装系統の不具合の有無
- 正規ディーラーでの点検・整備記録の有無
- 車両本体価格以外にかかる整備費用や補修部品の供給状況
特に並行輸入車については、国内での保証対象外となる場合があるため、購入前に十分な確認が必要です。
7. まとめ:E-Rayはどんな人におすすめか?
コルベット E-Rayは、アメリカンV8の伝統を守りつつ、次世代スポーツカーとしての電動化を見事に融合させたモデルです。そのため、以下のような方におすすめです:
- スポーツカーに興味があるが、燃費や静粛性にも配慮したい人
- AWDの安心感とパワフルな加速を両立させたいドライバー
- ハイブリッドスポーツカーという新しい領域に価値を見出せる人
中古車市場でも希少性の高い一台となる可能性があるため、検討している方は早めの情報収集と現車確認をおすすめします。
マコール
車関連企業に勤務
80年代後期のローバーMINIで走行会に参加
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